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病巣感染(びょうそうかんせん)

細菌感染による慢性炎症部から離れた部分に様々な症状を惹き起こす病気のことを言います。発生に関しては、細菌、アレルギー、神経による3つの説があります。例えば、歯周病も原因と成り得ます。虫歯(齲蝕:これも歯に対する細菌感染です)により神経に細菌が侵入してしまって歯の根の先から細菌が溢れ出して顎の骨の中に病気を作った場合も原因と成ります。この原因を治療する事により、離れた場所に発生した病気も治癒する事があります。掌蹠膿疱症のところで少しお話しましたが、原因と考えられる歯の根っこの治療を始めると徐々に手のひらと踵の掌蹠膿疱症が改善し始め、歯の治療が終了するとほぼ同時に消失した経験があります。病巣感染の原因が全て口腔内に存在するわけではありません。しかし、考えられる原因を一つ一つ除去していくべきでしょう。それでも治癒しない場合もありますので、同時に専門医への受診も重要な事です。

口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)

一般に原因不明の口腔粘膜の疾患です。両側の口腔粘膜に発症することが多く、歯科用金属との関連が疑われている病気でもあります。見た目は、頬や歯肉、舌、上顎の粘膜に幅1~2㎜程度の乳白色の細かい線状の病変です。自覚症状としては、痛みが最も多く、刺激物や熱いものが食べることができない、出血、不快感、味覚異常、灼熱感など多様です。非常に難治性(治すことが困難)の粘膜疾患で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。しかし、稀な疾患ではありません。注意深く診察していると、日常臨床の中で比較的良く目にする疾患でもあります。ただ、問題となるのは、長期経過中に、癌を併発する可能性が否定できないことでしょう。注意深い観察と適切な対処が必要な疾患でしょう。金属アレルギーが強く疑われた扁平苔癬の患者さんを治療いたしました。幸いなことに原因金属の確認ができ、原因金属を除去し、原因金属が含まれていない材料で治療しました。その後、症状も徐々に軽くなり、悪化までの期間も長くなりました。約2年半後に最後に来院されましたが、ほとんど消失し、現在は来院されておりません。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

歯科ではあまり聞きなれない疾患ですが、皮膚科領域では、歯科用金属や虫歯・歯周病などの感染症(病巣感染)との関連について議論されてきたようです。原因が全て解明されているわけではありません。どのような病気かというと、手掌や足底に多数の水疱のようなもの(膿疱)が多数出現し、かさぶた(痂皮)を生じて表皮がはげ落ちてきます。口腔から離れた部位に症状が出現するために、なかなか原因を見つけるが出来ません。症状はまるで水虫のようで、あまり人に見られたくない疾患です。周期的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。更に様々な合併症を惹き起こす事もあるようです。喫煙(受動喫煙を含む)も原因になることから、男性に多い疾患とされてきました。私も金属が原因ではなかったのですが治療した経験があります。幸いにもその時は、症状の改善消失を見る事ができました。歯科で治療の対象となることは、原因金属を探しそれの除去および感染源を治療することです。歯科領域で考えられる原因を治療するとともに、皮膚科の専門医に診察してもらうことも治療として非常に重要です。